M-ji, M.D., Ph.D.

Life is Short Eat Dessert First

「どんな髭剃りにも哲学がある」

サマセット・モームは「どんな髭剃りにも哲学がある」と書いている。どんなにつまらないことでも、日々続けていれば、そこには何かしらの観照のようなものが生まれるということなのだろう(引用:村上春樹)。

暑い日も寒い日も毎日面白くない道を自転車通勤していると、そこには何かしらの観照のようなものが生まれる。同じ道を走ることで、微妙なタイヤの空気圧やその日の体調が瞬時に分かるし、小さな轍や危険箇所、カーブの死角、すれ違う車や人など全てが頭の中に入っていて、自転車通勤は回を重ねるごとに、より完成度の高いオートメーションとして進行していく。

朝起きて外のポストに新聞を取りにいく時の空気感で、今日の服装が瞬時に決まるのも自転車通勤の何かしらの観照の一つだろう。長きにわたる自転車通勤で、真冬の服装はほぼ完璧に近いものに仕上がった。完璧と言っても自分なりの完璧で、他者にとっての完璧かどうかは分からない。

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下から
ソックス、シューズカバー:
dhbの厚手メリノウールに足の甲に貼るタイプのホカロン。最初ホカロンは足裏に張っていたが、足裏だと空気に触れないためホカロンが温かくならない。ホカロンは早朝だけ足の甲に装着すれば十分。シューズカバーはパールイズミ 。丈夫で破れない。

レーパンに Raphaクラシック ウィンター タイツ:
このタイツはレーパンの上に履くタイプのタイツ。パッドなしのタイツは現在は販売されていない。真冬の時期にRaphaのクラシックウインタータイツのパッドなしを愛用している。着心地、生地の厚さ、締め付け感、どれをとっても今の自分に合っているので同じタイツを2つ持っているぐらいである。今はRaphaの公式サイト上ではパッド「あり」は販売されているが、パッド「なし」は販売されていない。おそらく多くの人はパッド「あり」を求めていて、パッド「なし」は求められていなかったのだろうと思う。冬の週末にライドするぐらいであれば、パッドが付いていてすぐにスッとはくことができたほうがいいに決まっている。
では、パッドなしタイツを愛する理由はなんだろうか。
ほぼ毎日往復50kmの自転車通勤をしている。真冬でもそれなりに汗をかくし、皮膚に直接触れる服については、清潔を保つ意味でも毎日洗濯したい。パッドありのタイツだと毎日洗う必要があり、タイツを最低でも3つは用意しないといけない。洗うにしてもかさばるし、洗う頻度が多くなると生地も痛む。古くなった透けそうなレーパンを中にはいて、それからパッドなしのタイツをはけば、中のレーパンだけ洗えば済むし、世間様に見せることができない古いレーパンの利用価値も存続する。

メリノウール、ジオライン、Raphaプロチーム サーマル ベースレイヤー:
アンダーウエアにはお金をかけろっていうのはよく登山家が言う台詞。メリノウールが暖かさでは一番だが、強度が高い運動になってくると汗の量が多くなり、汗を吸ってしまう方が多くなり乾くのが追いつかない。運動強度が低いライドや自転車通勤向き。逆にジオラインはトレイルライドや運動強度が高いライドに向いている。そこそこ暖かいし乾くのも早い。
最近、Raphaプロチーム サーマル ベースレイヤーを着てみた。以前から持っていたのだが、メリノウールとジオラインで事足りていたので、タンスの肥やしになっていた。引っ張り出して着てみたらとても良い。ジオラインよりも暖かく汗の抜けも良い。何しろフィット感があるのと、タートルネックになっていてネックウォーマーが必要ないのが良い。寒い時にはタートルネックを顎にかけると首が風にされされず暖かい。とてもいいのだが、ちとお高い。

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長袖ジャージ:
ベースレイヤーの上に着る長袖ジャージはあまりこだわりがない。化繊も着るしメリノウールも着る。あまり変わらない。ベースレイヤーと同様で運動強度によって使い分けていると言えば分けている。

Raphaコア ウィンター ジャケット:
通勤先にあまり派手な格好はしたくないし、できたら目立たずひっそりと部屋に入りたい。シンプルで必要にして十分。フィット感もあり関東南部の真冬では、これ以上暖かくても寒くても困るといった最適な暖かさとでも言おうか。ほとんど毎日来ているので背中のポケットの入り口が黒ずんできた。紺色を選んでおいてよかった。

Raphaウィンター グローブ:
敢えて言うならば、本当に寒い早朝やヤビツ峠などの山岳地帯のダウンヒルでは、指が痺れて感覚がなくなる。ただしこれ以上の暖かさを求めると、今度はシフトなどの操作がしづらくなるだろう。暖かさと操作性というのはトレードオフの関係だから仕方がない。この辺りが落とし所なのだろうか。山の中は暖かいのでトレイルライドでは薄手のプロチームを使用している。

これだけ書いてきて、なんだかRaphaおじさんのようになってしまった。ライド中に全身Raphaなおじさんを見て、「・・・」と感じてしまうが、自分もそうなりつつあるようだ笑。まあ製品は悪くないどころかとても良い。ただしそのブランド力からか、車と一緒でベンツやBMWに乗っている人を見た時に似た印象を抱いてしまう。
人によって髭剃りの仕方が異なり、自分なりの方法がある。真冬のレイヤリングも同様で、人によってそれぞれこだわりがあるだろう。要するに暖かく冷えず、欲を言えばカッコよければそれでいい。寒いからと言ってライドに出かけなければ、そんな何かしらの観照のようなものも生まれなくなる。さあライドに出かけよう。