M-ji, M.D., Ph.D.

Life is Short Eat Dessert First

レーシックの話1

いまさらレーシック
眼鏡との付き合いはいつからだろうか。記憶にある限りだと、中学生の時には黒板の字が見えなくて授業の時には眼鏡をかけていた。当時はあまりコンタクトレンズの人はいなかったかな。一時期コンタクトレンズに憧れて、眼科に行ったけれども眼の中に異物を入れる違和感や恐怖感からすぐにやめてしまった。というわけでおそらく眼鏡とは10代前半からの付き合いになるので30年以上ということになる。
レーシックが流行り始めた2008年。弟や義弟がレーシックをやってとてもいい結果だったので、自分もやってみようと思い近視クリニックへ。すべて検査を終えていざ手術という数日前に病院で眼科医の先輩に会った。レーシックのことを話したら「あと何年かしたら老眼になるし、白内障の時の眼内レンズの調整が厄介だからやめた方がいい」と言われてしまった。うーむ。
なんか気持ちが完全に萎えてしまい、レーシックキャンセルの電話をした。
それから12年。自転車では度付きサングラスを使用し、スキーでは猛吹雪でも度付きサングラス、海やプールでは度付きゴーグル、温泉では目を細めてとても不自由を感じていた。いくつかあった眼鏡や度付きサングラスは度が合わなくなったり、壊れたり。自転車の趣味が思っていた以上に長続きして、サングラス選びも難航することが多くなった。
眼鏡や度付きサングラスがめんどくさいなあと思う場面が増えてきた。どうしようかと思っていた矢先にICL(眼内コンタクトレンズ)の手術が承認され、日本でも症例数が増えていった。レーシックのような近視の戻りもなく、何か問題が生じた後でも取り出すことができる。これはなかなかいいなあと思い再び近視クリニックの門を叩くことに。
電話をして名前と生年月日を伝えたら、初診日や検査記録まできちんと保管されていて、予約もスムースにとることができた。診療録保管義務の5年間を超えて保管しているのは素晴らしい。診療録管理体制もしっかりしているのだろう。

受診当日の早朝、ライドに出かけた。久しぶりの晴れで中5日ぶりの自転車だった。走行時にいきなり度付きサングラスの片眼が落ちてびっくり。慌てて停止してレンズを拾った。レースの最中でなくてよかった。なんとかテープで補強して帰還した。よりによって近視クリニック受診日当日に度付きサングラスが壊れるなんて。

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近視クリニックは駅近くの高級そうなビルの上階。受付はホテルのようだった。場末の病院とは全く雰囲気が違う。待合室には待っている人がたくさんいた。呼ばれて、担当の検査技師?とともにどんどんと検査が行われていった。眼科は専門性が高すぎて詳しくないけれども、眼圧、視力、前房深度、角膜の厚さなどなど。検査途中、前房深度が28mmということでICLはちょっと難しいということが分かった。ガイドラインでは28mm以上ないと厳しいらしい。ギリギリ。なんだかトーンダウン。しかしここでじゃあやめますという気分ではなくなり、レーシックを勧められ選択することに。角膜の厚さは薄めだけれども十分で、視力もすごく悪いというわけではないのでレーシックの方が適応だと。
ここら辺からやや商売っぽくなり、レーザー機器のグレードが上がるごとに費用も上がっていくという価格設定。当然高性能な機械ほど費用は高くなっていく。また角膜強靭化という視力の戻りを防ぐ処置をするとより良いという説明を受けた。これがまたお高い。ある程度の医学的知識のある人でも、まあ眼のことだしと思うとより良いコースを選択してしまうだろう。御多分に洩れず、一番お高いコースを選択した。
まさにこれから自転車を乗ろうとしている人が、フラッグシップのロードを買ってしまい、同時に同じメーカーのジャージも買ってしまうというのに似ている。

眼科医師の診察を受けた。眼科医師から「私の裁量で10万円お安くしておきますよ」と言われ、椅子からひっくり返りそうになった。ここはカーディラーか!? あまりに保険診療と別世界で頭がクラクラしてきた。後で調べてみると、クーポン券を持っていたり、紹介があると安くなるシステムもあるらしい。ここら辺はかなり怪しい世界だ。
一通りの説明を聞き、最後にアベリーノユニバーサルテストという遺伝子検査を受けて終了。

感想としては、怪しさや商売気をかなり感じる反面、受付の対応、診療録の保管体制、検査体制、清潔操作、検査技師?のスキル、遺伝子検査など、盤石で抜け目がないという印象を受けた。


続く。